天動説と地動説

サイト運営者の超個人的に推したい雑学

#宇宙 #太陽が地球の周りを回っている?


みなさんは天動説、地動説という言葉を聞いたことありますか?
初めて聞いたという人のために簡単に説明しておきます。

天動説、地動説とは宇宙の成り立ちや構造についての対極な考え方のこと。

天動説は「天」が動いている→私たちの住む地球が宇宙の中心で、太陽を含むその他の天体が地球を中心に回っているという考え方。

地動説は「地」が動いている→地球は宇宙の中心のような特別な存在ではなく、他の天体と同じように動いているという考え方。現在ではこちらが正しいとされている。

天動説は16世紀ごろまで信じられていた宇宙の構造についての考え方なんですが、今それを聞くと「地球が宇宙の中心なわけない」と思う人がほとんどでしょう。
人によっては「宗教的な理由で神が創った地球が宇宙の中心だという考え方になったんじゃないか」と想像する人もいるかも知れません。
今では馬鹿馬鹿しいと思われてしまうかもしれない天動説は、実はその時代の人々にとってはきちんと実験で検証された科学的に正しい理論という認識だったんです。

天動説を検証するために用いられた実験は、「年周視差」を確認するというものでした。
みなさん当然ご存知の「年周視差」ですが、一応確認のためにどういうものかをおさらいしておきましょう。

2つのボールが置かれていて、それを自分からどう見えるかを想像してください。2つのボールが遠くに見える星、自分が地球と考えてください。またこの2つのボール同士の位置関係(距離など)は変わらないと想定します。

天動説は図1のように自分(地球)を中心に2つのボールが位置関係そのままに回っている状態です。
この場合、いつそのボールを見ても同じように見えるはずです。

図1

一方地動説は図2のように自分(地球)が中心ではなく動いている状態です。
この場合は見る場所によってボール同士が重なって見えたり左右が入れ替わったりするはずです。

図2

このような検証を宇宙規模で行った結果、1年を通してずーっと星の見え方が同じだったら地球中心に宇宙が回っているし、時期によって星の見え方が変わるなら地球が動いてるってことでしょ、というのが年周視差です。

実はこの年周視差は地動説を証明する根拠になっている検証結果なんですが、当時は天動説を立証する実験として扱われていました。
同じ実験なのになぜ真逆の結論を導くことになってしまったのでしょうか。

答えはシンプルです。
遠すぎてちゃんと見えてなかったんです。

昔は観測の精度が低かったので間違った結論になってしまっていたんです。
今となっては「それじゃ無理があるだろ」と思いますが、昔の実験器具は筒に分度器を取り付けて測るというすごくその人の視力に頼ったものだったんです。
もちろん何度も検証したとは思いますが、さすがにそれじゃ間違ってしまってもしょうがないですよね。

ちなみに地動説の方が正しいんじゃない?となったのはガリレオが望遠鏡を発明して人間の視力よりも何倍も高い精度の実験ができるようになってからです。

当時の人は知る由もないですが、正しい結論を導くためには271メートル先にあるものを1ミリだけ動かした差を観測できるレベルの精密さが必要だそうです。
そんなの肉眼でできるわけない。。。

このように同じ考え方でも技術の進化で全く逆の結論になってしまうこともあるのはとても面白い事例だと思います。
もしかしたら、今私たちが常識と思っていることも数百年後に逆が正しいとなっていることもあるかもしれません。

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